第232号 チューリップの魅力

まだまだ寒い日も多く、春が待ち遠しいこの頃。

花の市場は一足先に、春の花がたくさん並んでいます。
色とりどりのスイトピー、香りの良いヒヤシンス、ふんわりと長く咲き続けるラナンキュラス、アネモネやポピー。

中でもチューリップの存在感は大きく、本当にたくさんの品種が市場に並びます。可愛らしくもあり、また正反対の妖艶さもあり、色も姿も様々で、どれを買おうか悩むのも楽しいひとときです。

子供の頃から慣れ親しんだ花ということもあって、先日オンラインストアで販売したカラフルなチューリップの花束もあっという間に完売してしまいました。
他の花にはない特別な魅力があるのだということを実感する出来事でした。

そんなチューリップですが、実は歴史深い花であることをご存じでしょうか。
1630年代、現在のオランダでチューリップの変異種(植物の病気によって珍しい模様や色になった花)の人気が高まり、それらを保有することが貴族や資産家のステータスとなったことをきっかけに、収集家が変異種の球根を買い漁ったことから、価格が急上昇。

品種改良等によって珍しい花を咲かせるチューリップの球根一つと、豪邸や工場が取引される「チューリップ狂時代」となるのです。その頃は一般市民も熱狂し、オランダ中の市や街で球根の取引が行われるようになりました。

その後、チューリップバブルは崩壊し、需要が減ったチューリップの球根を売りさばくために取引価格は急下落。バブルは終焉を迎えるわけです。

今、私たちが美しい様々な品種のチューリップを手にすることができるのも、実はこの歴史的背景があるからなのだと思うと感慨深いですね。
でも実はチューリップの原種は、一般的に知られているチューリップとは違い見た目が大きく異なります。背が低く、小ぶりでワイルドな印象で、きっと初めて見た方は驚かれると思います。

いつの時代も私たちの心を惹きつけ、夢中にさせる花。
是非お部屋に飾ってじっくり眺めてみて下さい。

(2024.2.29 こまつ)