花屋を始めてから、花をプレゼントされることが無くなりました。 花が好きでこの仕事を始めたのに、少し寂しい気もします。
プレゼントする側からすれば、その品物の原価まで分かってしまうような人に、あえてそれをプレゼントすることは避けたいはずです。実際のところ、もらった私もやっぱり少し戸惑うと思います・・。
四季旅人は完全受注制ですので、仕入れた花がたくさん余ってしまう事は少ないのですが、それでも半端になってしまった花は、小さな花瓶やグラスに入れて自宅に飾り、最後まで愛でています。
そうすることで、さまざまな花の咲き進み方や寿命を、実際に目で見て確かめることができるので、次にその花を使う時の参考にもなるのです。
仕事として仕入れるときは、もちろんお客様の要望に合わせて、花の色や大きさ、「保ち具合」などを色々と考慮しながら花を選びます。でも時々、好きな花をバサッと大きく活けて飾りたい!心惹かれた花を自分のためだけに飾りたい!と思うこともあります。
自分のための花選びでは、そういう事は一切考えずに、ただ純粋に好きな花を買います。そしてその花を、どんな花器にどんな風に活けようか考えながら市場からの帰り道を楽しみます。
好きな花を、自分のためだけに贅沢に飾れるのは「花屋の特権」。
今日は、久しぶりに自分のために「白い一重のバラ」を買いました。「ウエディングドレス」という品種のそのバラは、繊細で野性味あふれる雰囲気。仄かな芳香もあり、部屋をやさしく可憐に彩ってくれています。
活けた花を見るたびに、心が潤い、満たされた気持になります。 やっぱり私は花が好きだな・・・としみじみ思うひと時です。
(2008/08/27 こまつ)