第175号 悪魔の甘いささやき

花が長持ちする冬は、花屋にとって少し安心感を感じられる季節です。

温度に敏感な花を少しでも良い状態に保てるよう、真冬でも基本的にアトリエは暖房をつけません。今ではすっかり寒さに慣れ、ちょっと寒いくらいの方が快適に感じられるようになりました。

でも実はアトリエだけでなく、我が家にいたっては生活空間である自宅も寒いのです。もともと小さな商業ビルだったスペースを居住空間に作り変えたので、床はコンクリートで、天井も高く、冷えびえとしています。

暖房はもちろん入れていて、長時間であれば部屋も程よく温まりますが、短時間の場合はポカポカからは程遠い状態です。

リビングのソファで寝転がって休憩しようとしても、寒すぎて目がぱっちり。そんな時は寝室に行って、羽毛布団に包まった方がずっと暖かく、リラックスできます。

そのようなわけで私の休憩時間は、真冬は羽毛布団の中で過ごします。そうなると当然、ウトウト眠ってしまうのです。
眠りすぎてはいけないので、スマートフォンのアラームが20分後位になるように設定しておき、アラームと共に布団から出て仕事に戻ります。

毎回「もうちょっと眠っちゃいなよ」という悪魔の甘いささやきが聞こえてきますが、誘惑を払いのけ、何とかこの冬も乗り越えることができました。

春本番。
春眠暁を覚えず。
まだまだ悪魔のささやきとの戦いが続きそうです。

工場のような階段。冷たいのでカーペットを敷きました。

リビングの床。

キッチンカウンターの花も長持ちです。

(2019.4.3 こまつ)