第253号 秋のパリへ

先日、フランス、パリへ花の研修視察旅行に行ってきました。
子供を連れて3泊5日という短期間の旅程のため、花三昧とはいきませんでしたが、それでも様々な体験を通じて思い出深い旅になりました。

今回は短期アパートを借り、事前に予定を決めず、可能な限り時間を自由に使えるようにしたことが良かったようで、ストレスを感じることもなく、意外にものんびりと過ごすことができました。

街を散歩がてら、点在する花屋さんのウィンドウディスプレイを眺めつつ、パリ中心地近くにある有名フロリスト「ステファン・シャペル」の店に立ち寄り、ギフト用のブーケを作ってもらいました。

お店の女性スタッフが手際よくブーケを束ねながら、茎を指さして何か質問をしてくれたのですが、聞き取れず・・・
いつもフランスでブーケを購入すると保水処理は施されないのですが、おそらく保水に関する質問で、もしかしたら遅い時間に使うと言えば保水をしてくれるのかな?と思って「今夜使いたい」と答えたところ、むしろ茎がしっかり露出した状態のラッピングになっている!?

後から気づいたのは、これは「ブーケを使う(プレゼントする)まで家でバケツに水を入れて茎をつけておく」ことを前提としたラッピングではないかということ。日本では保水ゼリーを使って慎重にラッピングしますが、そのあたりの感覚の違いは大きく、いつも驚かされます。

また高額で大きな商品は別ですが、フランスで買う自宅用やちょっとしたギフト用のブーケは色や花の種類を多く使わず、シンプルなことが多い印象です。その分まとまりがあって、美しさが際立つのですが、今回もそのようなブーケになりました。

久しぶりのパリ観光は、秋景色を堪能するため、できるだけ街を歩いて移動しました。そのおかげでセーヌ川の橋上で偶然演奏されている音楽に耳を傾けることもできましたし、ふと目の前に現れた名前も知らない教会に入って、中をゆっくり見学することもできました。

一方で小さなトラブルもあり、現地に到着してアパートに入るための暗証番号を押しても扉が開かず、予約アプリを通してホストとやり取りをしたり(偶然隣人が帰ってきてドアを開けてくれた)、備え付けの家電は見慣れない記号表示が多くて、なかなか思うように動かせなかったり(適当にボタンを押しているうちに動き出した)、レストランで注文した料理が予想と違ったり(ステーキだと思ったら煮込み料理だった)、色々とありましたが、それも良い思い出となりました。

またレストランでは、若い男性スタッフに尋ねられ、日本から来たと言うと「ワーォ!ジャポン!」ととても喜んでくれて、サッカーの久保選手が好きなんだと言いながら、なぜか私たちに興奮気味に握手をしてくれて、楽しく食事をすることができたり、空港や観光地などのセキュリティチェックでは厳しい顔をした警備員さんが、子供に対しては冗談を言って和ませてくれるので気持ちが解れました。

改めて、本やスマホ画面を通してだけでは感じられない旅の楽しさ、花の美しさを堪能できたひと時でした。

そして最後に。
今回の旅を通して、反対に、日本のフローリストのレベルの高さ、サービスのきめ細やかさがいかに素晴らしいものであるかに気づかされました。初めて訪れた時はフランスの花の美しさに圧倒されただけでしたが、私自身の視点が変わってきたのかもしれません。フランスの花はやはり美しいけれど、日本の花も負けないくらい美しく、ホスピタリティも素晴らしい。この気付きは、今回の旅の一番の収穫かもしれません。

(2025.11.25 こまつ)