第249号 手を加えて愛が増える

昨年購入したアンティークの収納家具。
華美過ぎず、かといってナチュラル過ぎず。
上部に引き出し、下部に扉付きの収納があって、内部には仕切りがあるため使い勝手がよく、サイズもぴったり。
これは運命の出会いだと思って購入したのは、ちょうど1年前でした。

既にある同じようなアンティーク家具との相性も良いからか、毎月アトリエにいらっしゃる生徒さんも気が付かないほど空間に馴染んでます。
このような1点ものの家具は縁がないと購入できないので、愛着もひとしおです。

ただ数か月前から下の扉の1枚の開閉が困難になってしまいました。
扉の蝶番が緩んだのか、木材が湿度などで膨張したのか・・・
それまでスムーズに開閉していた扉が、引っ掛かるようになり、力を入れないと開け閉めできなくなったのです。

ひとまず蝶番を外して見てみようと思い、プラスドライバーを当てようとしたところ、ネジはマイナスの形でしかも錆びついており、上手く外せません。
ネジの溝も浅く、手持ちのマイナスドライバーではしっかり噛み合ってくれません。

それなら扉を外さずに、そのままカンナなどで削ってサイズ調整をしたらよいだろうと思ったのですが、扉には段差があって普通のカンナでは削れないことが判明しました。
さてどうしようか。

やすりで地道に削るには時間も手間もかかるし、何か良い方法はないかとホームセンターの大工用具売り場を注意深く探したところ、まさに今回の用途にぴったりの工具を見つけたのです。

幅が細く、端まで刃がついているカンナで、今回の扉を削るにはこれ以外にないと言えるでしょう。見つけた時には喜びでひとり震えました。

のちに調べたところ、これは「際(きわ)カンナ」というそうです。
一般的なカンナは両端まで刃が出ていないので、今回のような用途では全く使えませんが、際カンナなら段差のある扉でも削ることができ、無事に扉の開閉もできるようになりました。

ちなみに昔の家具や家屋で使われているネジはほとんどがマイナスの形だそうです。確かにドライバーもマイナス型なら物がない時代でも量産できますし、原始的でありながら必要十分でもありますね。

どのような時代に、どのような場所でどのような人がどのように作ったのか。
扉の修理からグンと広がる想像の世界。
ワクワクします。

(2025.7.29 こまつ)

上下にストッパーがついているだけのシンプルな作りの扉
側面と下部を削りました
今回の救世主の際カンナ