第235号 巨匠に学ぶ変遷の美学

風薫る5月の平日。
急に仕事がオフになったので、ドライブがてら上野公園にある東京都美術館にひとりで行ってきました。開催中の「デ・キリコ展」がよく聴くラジオでいつもお勧めされていたのでちょうど良いタイミングでした。

イタリアの画家、彫刻家である「ジョルジョ・デ・キリコ」を私は全く知らなかったのですが、謎めいた風景、ゆがんだ遠近法、幻想的な雰囲気・・・かと思いきや、伝統的な絵画もある。

一人のアーティストが、時代背景や自分の興味の移り変わりとともに表現方法を大きく変えて多彩な作品を生み出したことが印象的な展示でした。

仕事を続ける上で「四季旅人らしさ」「私らしさ」をもっと明確にして、わかりやすい世界観を作っていくのが良いのではないか、と思うこともあるのですが、もっと自由に、その時々の自分の興味に正直にいることが、私にとっては自然な気がします。

お客様からのオーダーも多彩であるが故、デザインの引き出しも多く持つことが大切で、何より想像を膨らませながら様々なテイストの商品を作らせていただくのが、とても楽しいのです。

自分のフィルターを通して、多種多様な花を作れる。
そしてデザインも時と共に変遷をたどる。
ひとつに固執せずに自由に楽しめ!とキリコに背中を押してもらったような気がします。

余談ですが東京都美術館は中のレストランも美味しいです。一人でのんびり食事まで楽しむのが、最近の私の一番の贅沢です。

(2024.5.30 こまつ)