第210号 ニュートラルが理想

年度末、フラワーギフトやイベントを演出する花等、沢山のご依頼を頂きました。

シチュエーションは様々ですが、その花が使われるシーンを常にイメージしながら進める花屋の仕事は、高い想像力を求められる職種だなぁと思います。

例えば大きな会場の壇上に飾る花。
大きく活けることはもちろんですが、下から見上げることが多いので、上向きばかりでなく、正面や下を向く花を活けるように。

小さな子供に贈る花。
わかりやすく明るい色で。葉物は少なめで花をメインにしたほうが子供にとっては嬉しい様子。

お見舞いの花。
退院されて間もない方には、優しい色合いで気持ちの負担にならないように、そっと寄り添うような花を。

送別の花。
職場等から持ち帰ることを考えて袋を添えたり、華やかだけどコンパクトにまとめたり。アレンジメントの場合は重くならないよう、生花用スポンジも大きいものは避けています。


私自身は落ち着いた色合いやシックな花合わせが好きですが、実際に子供の卒園式で飾られている花を見て、やはりこのような場には明るい花が似合うな、チューリップやガーベラ等の発色が良く、明るい色が良く映えるなと思いました。

また開店お祝い等はお店のイメージに合わせてお作りしますが、あまり落ち着いた印象でまとめてしまうと、他のお店から届けられた華やかな花に圧倒されて霞んでしまうことも多く、慎重に花選びをしています。

ホームページやSNSをご覧になって花のギフトをオーダーして下さる方が多いのですが、あくまでもシーンに合うことを前提として、次に自分のフィルターを通して良いと思うものを作るように心がけています。独りよがりにならないように、自己満足で終わらないように、時にはお客様に提案しながら作業を進めています。

私自身の好みやカラーは極力控えめに。
街や自然の風景、映画や音楽、本などからヒントを得つつ、ナチュラルでもモダンでも、スイートなものもカッコいいものも、状況にあった様々な印象の商品がご用意できる花屋であることが理想です。

長くこの仕事に携わっていると、ついデザインに偏りが出てきてしまいますが、あくまでもシチュエーションあっての花。
造り手が常にニュートラルであることが大切だと思います。

(2022.3.31 こまつ)