第198号 じんわり美味しい

毎年3月はお彼岸の他、卒業式や送別、入学、開店や就任お祝い等で花の需要がとても高まる1か月です。

日が昇る前から仕事はスタートし、夕方には疲労で電池が切れかかり、大体9時には就寝する毎日。滞りなくスムーズに仕事を進め、さらに毎日の暮らしを充実させるって、結構難しいことだと思います。

時間のやりくりをする中で、どうしても食事にかける時間やエネルギーをないがしろにしがちですが、私にはこれが優先順位の高い重要事項で、適当なご飯が続くと心がカサカサして元気がなくなってきます。

学生時代に海外旅行した際、お金もなく、慣れない土地で夕食を上手く買えず、クラッカーと水で空腹を満たしたことがありました。お腹は満たされたけど、なぜか布団の中で涙が自然に溢れだし、これが自分のウィークポイントなのだと知ったのです。

たかが食事の事くらいで大げさな…と、自分自身でも思いますが、あれから数十年経った今でも変わりはありません。

春は美味しいものがたくさん出回る季節。
この時期、我が家の冷蔵庫には必ずスナップエンドウと菜の花が常備されています。
スナップエンドウの筋をとってサッと茹で、オリーブオイルとポン酢をたらした春の小鉢はシンプルで美味。同じく茹でたエンドウを真ん中から割ってサラダに散らすのも大好き。中の小さな豆が左右のさやに一つずつ交互にくっついて、見た目も可愛くて、味も美味しいって最高です。

菜の花は茹でて辛子醤油もいいけれど、ニンニクとオリーブオイル、アサリと一緒に軽く炒めたものも美味しい。これから花が咲いた菜の花がでてくると、柔らかい花の部分をちぎって洗い、これもサラダに散らすと華やかだし、クセがなくて美味しいのです。

他にもタケノコ、フキ(でもこれらにはちょっと手間がかかる)、ワカメ、タラの芽、ウド、新玉ねぎに新じゃが、春キャベツ。
あとは近所のスーパーで、毎年一瞬だけ見かけるホワイトアスパラ。
逃したら来年まで待たないといけないと思うと、思わず手にしてしまいます。

じんわり美味しいものは、じんわり心を満たしてくれる。
美味しい春、万歳。

(2021.4.1 こまつ)

自宅に飾った吉野桜。 散り際まで美しい。

 

見た目も可愛いスナップエンドウ。