第177号 給料泥棒とよばれて

なんてインパクトのある言葉!
他でもない、私がかつて上司から言われた言葉です。

私は大学卒業後、一般企業に3年ほど勤めました。

入社後の配属先はいわゆる人事部。半年後に社長秘書に異動となり、そこから約2年半という短い期間でしたが、たくさんのことを学ばせてもらいました。当時の社員数は3000人程で、若い社員が多かったこともあり、人材育成にかなり力を入れている企業でした。

入社して間もない頃、大量のダイレクトメールの封入作業を任され、自分なりに一生懸命作業をしていた時に上司からかけられた言葉が、上記の言葉だったのです。言葉のニュアンスには少しふざけた雰囲気もありましたが(自分がそう思いたかっただけかもしれませんが)、自分にとってはショッキングなフレーズでした。

そして上司は見本を見せるべく、封筒の糊付けする部分を1㎝間隔でずらっと並べ、まとめて糊を付け、パパっと作業を終わらせてしまったのでした。

「効率を考えて仕事をする」
ビジネスマンとして当然の事ですが、当時の私はそれが全くできていなかったのです。

先日の母の日、大量の配送用の段ボール箱を組み立てながら、この思い出がよみがえってきました。どうやったら短時間で、最小限の動きで沢山の箱を組み立てられるか。単純作業は効率を重視し、手早く終わらせるという思考が、あの時から体に染みついています。

時間も体力も集中力も有限であるからこそ、無駄に使わないこと。
そしてプランを練るとか、制作をするといった繊細な作業には、その分たっぷりと力を注ぐということが、今でも自分の仕事のセオリーとなっています。

これはあくまで一例で、他にも名刺の受け渡し方等のビジネスマナー、見積書や請求書の意味や作成方法の他に、大きな企画がどのように進行するのか、カリスマ性のある経営者がどのように仕事に向き合っているのか等、至近距離で学ぶことができたのは、非常に貴重な体験だったと思います。

退職して長い時間が経ちますが、お世話になったこの企業は、今では四季旅人の大切なお客様でもあります。

頂いた仕事に対して、期待以上の成果で応えることが、自分にできる恩返しの方法と考え、仕事に向き合っています。

(2019.5.31 こまつ)

芍薬とカモミールのブーケ。芍薬が旬を迎えています。