第173号 真冬の過ごし方

年が明け、花市場ではチューリップ、ラナンキュラス、ヒヤシンスやスイトピーと、春を感じる花々が主役になっています。私にとっては、一年の中で、最も好きな花が多く出回る季節です。

寒い朝、早く起きるのは大変ですが、それでも心折れずに仕事に向き合えるのは、これらの花が旬を迎えているからに他なりません。

花の需要が高まるイベントが少ない1月と2月は、いつものんびりモードです。そのため毎年この時期に、アトリエの大掃除や在庫の整理をし、保存期間の過ぎた帳票類を廃棄して、新しいファイルを作成したり、普段なかなかできない事務作業を行っています。これからの1年を気持ちよくスタートさせるために欠かせない作業です。

また家の中の片付けや、気になっているけれど手を付けられなかったことにも着手しています。その一つがレザージャケット復活計画。

何年も前に購入した茶色のレザージャケットですが、形は気に入っているものの色が手持ちの他の服と合わせるのが難しく、ほとんど袖を通す機会がありませんでした。もう処分してしまおうかとも思いましたが、黒だったら着やすいな・・・と思い、思い切って自分で染色してみることに。

自分なりに色々調べて道具を揃え、夫やバイク好きなご近所さんにアドバイスを頂きつつ、作業に没頭。

途中、皮の染料で化繊の裏地は染色できないことに気が付き、裏地は極太油性ペンで塗りつぶすという荒業も取り入れながらも、なかなか満足いく仕上がりとなりました。油性ペンで塗った裏地は触り心地が変化し、体を動かすとパリパリという小さな音がするのが盲点でしたが、まぁそれもご愛敬。

世界でひとつの手作りの服を手に入れ、春が来るのがより一層待ち遠しくなりました。もしこのジャケットを着た私と出会っても、歩くたびにこぼれるパリパリという音は、どうか気にされませぬよう。

(2019.1.30 こまつ)

元のレザージャケット
黒に生まれ変わりました