第148号 世界でひとつのコート

花屋の仕事を始めてから、年末の大掃除なるものをしたことがありません。

毎年11月末頃からクリスマス関連の仕事で忙しくなり、そのまま年末の迎春用の花仕事に突入するため、大晦日まで仕事をしています。
見かねて夫が家の大掃除をしてくれますが、自分のテリトリーは年明けの落ち着いたころにやっと着手・・・といった具合です。

今年は忙しくなる前に少しでも片づけをしようと思い立ち、先日クローゼットの中身を見直しました。
衣服との付き合い方に関する本を読んだ直後ということもあり、とにかく数年着ていない服や、少しでも傷んだ服は全て処分しようと、作業を進めること1時間。

大きなゴミ袋3袋分の衣服を、自治体の古着回収に出すことにしました。

読んだ本によると、そもそも私たちの脳で記憶できる容量は限られており、服をたくさん持っていたところで着まわして全て活用することなど難しいそうです。それなら気持ちがワクワクする服のみ手元に置き、丁寧に扱って長く大切に着ましょう、とのことでした。

手元に残した服の中のひとつ、シンプルなステンカラーのコート。
中にライナーがついているので、春と秋~初冬くらいまで着ることができるお気に入りのコートです。
しかし最近手に取ることがなくなり、その理由を自分なりに考えてみました。

まず袖の長さが少し長く、折り返さないとバランスが悪いこと。
折り返すと裏地が見えてしまうため、結局はそのまま着ることに。
他にも襟が大きめで、丸い私の顔がさらに強調されるようなのも無意識のうちに気になっていました。

そこで近所で洋服の直しをしている所を探し、袖の長さを詰め、襟についても相談して、ギリギリまで小さくして頂きました。

手元に戻ってきた私のコート!
なんて愛おしいのでしょう。
たぶん誰も気が付かないのでしょうが、そのコートは少しのサイズ調整を経て、私の体にしっくり馴染むようになりました。

結果的にどこにも売っていない世界でひとつのデザインになった私のコート。
愛着いっぱいのコートは、すっかり寒くなった今も活躍してくれています。

(2016.11.29 こまつ)

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袖を一折り、短くしました。

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襟も半分の大きさに。 ボタンホールがあったので、ギリギリ切り落とした状態にカット。