第131号 立ち止まらずにゆっくりと

私にとって数十年も前の出来事なのに、いまだに忘れることのできない思い出があります。

お悔やみの花。洋花で少し個性的な雰囲気に。

お悔やみの花。洋花で少し個性的な雰囲気に。

小学5年生の時の話。私は運動会で1000メートル走に出ることになりました。本当はもっと足の速い人がクラスにいたけれど、いろいろな事情があって、「上の下」のタイムであった私が出場せざるを得ない状況になったのです。

運動会当日、出場メンバーを知った私はビックリ。校内どころか市内の大会で好成績を収めるエリートたち並んでいました。私にとって完全なる負け戦。しかもただの負けではない「大敗」が目に見えています。

逃げ出したい気持ちを抑えながら、「もう仕方ない、やるしかない。」と自分に言い聞かせ、スタートラインに立ち、ピストルの合図でランナーが一斉に走り出しました。校庭5周で1000m。私はみるみるうちに遅れをとって、予想通り大きく差をつけられながら最下位を必死に走りましたが、なんと1周の差をつけられて、他のランナーはゴールしていきました。

チューリップをメインにエレガントにまとめた花束。

チューリップをメインにエレガントにまとめた花束。

つまり最後の1周はたった一人。全校生徒が注目する中、私一人で必死の形相で校庭を1周しないといけなかったのです。私と正反対で、体育委員を務めるスポーツ万能な妹がテントの下で、泣きそうな顔で見守る姿が目に入りました。
泣きたいのはこちらの方だけど、とにかく私自身がゴールしない限りは終われない。苦しくても、恥ずかしくても、最後まで走りきる以外に道はないのだと自分を励まし、何とかゴールした時のことは、今でも忘れられません。

競技を終え、申し訳ない気持ちで自分の席に戻ると、友人たちが「頑張った」「感動した」と励ましてくれ、中には涙を流して握手してくれるクラスメイトもいました。途中で諦めず、自分のペースで良いから努力し続けることが大切なのだ、ということを身を以て学んだ出来事でした。

可愛い春の花がたくさん出てきました。

可愛い春の花がたくさん出てきました。

この経験は、今の私の仕事をする上でのひとつの礎となっているような気がします。
大きなプレッシャーに押しつぶされそうな時も、仕事のやり方を変更せざるを得なくなった時も、自分を信じて続けることが大切なのだと。

来月から8か月間、出産、育児のためにお休みを頂きますが、また体調を整えて仕事を再開する予定です。このような長期休業は初めてで、これからの生活への楽しみと同じくらい、不安や寂しい気持ちも大きいですが、今後も自分のペースで立ち止まらずにゆっくりと進んでいけたらと思います。

(2015.1.20 こまつ)