第124号 遠い地に思いを馳せる

先月から千葉県のあるお宅で、庭作りの仕事をしています。
約30坪という広い敷地のお庭で、住居を中心にして左右にガーデニングスペースが広がっており、二つの景色が楽しめる素敵な作りになっています。

枕木で囲ってあるのは家庭菜園スペース。ハーブも多く使っています。

枕木で囲ってあるのは家庭菜園スペース。ハーブも多く使っています。

打合せの中でお客様が呟いた「ここはイギリスなのかしら、という感じになったら嬉しい。」というお言葉を今回のプロジェクトの軸にして、作業を進めています。

かつて私が学生だった頃、イギリスに短期留学をし、その時に知り合った日本人の友人と一緒にイギリスの田舎町「コッツウォルズ」を旅したことを思い出しました。

穏やかな丘陵では羊がのんびりと草を食み、はちみつ色の石で作られた可愛らしい家々が立ち並ぶ風景。その家を縁どるように様々な植物が植えられていて、どこを切り取ってもまるで絵葉書のような景色に感動して立ち尽くしたことが、まるで昨日の事のように思い出されます。

プランをスケッチして打ち合わせをします。楽しいひと時。

プランをスケッチして打ち合わせをします。楽しいひと時。

町のカフェで美味しい紅茶とたっぷりのクロテッドクリーム(生クリームとバターの中間のようなもの)を添えたスコーンを食べながら、ロンドンや東京のような都会にはない、田舎の魅力をしみじみ噛みしめました。

その時の記憶を丁寧にたぐり寄せて今回のプランニングのヒントにしながら、少しずつガーデニング作業を進めています。

小さな苗木や草花が、数年かけて成長する事で完成する、いわば「未完成の庭」が今回のひとつの特徴でもあります。そこに暮らすお客様が植物の成長を見守り、手助けする事で少しずつ完成に近づく庭。余白を残して、カスタマイズできる庭にすることで、愛着を持って管理して頂けるようにしています。

寄せ植えレッスンも人気です。「小さな庭」をイメージして。

寄せ植えレッスンも人気です。「小さな庭」をイメージして。

リビングの延長として家族が集い、ますます笑顔と幸福がいっぱいのお庭になるよう、残りの作業も心をこめて進めていきたいと思っています。

(2014.6.24 こまつ)