第116号 珍客とドライブ

小回りがきいて、たくさんの荷物を運ぶことができる軽ワゴン車が私の愛車です。切り花だけでなく、鉢植えの花や樹木も積み込む機会も多いため、避けて通れないのが車中での虫達との遭遇です。

紅葉したヒペリカムをあわせてヒマワリを秋顔に。

紅葉したヒペリカムをあわせてヒマワリを秋顔に。

運転しているとメーターのあたりにアリがウロウロしていたり、天井から目の前にクモがツーッと糸を垂らして現れる事も珍しくありません。

断言したいのは、虫を見るのに随分慣れはしましたが、決して好きではないという事。できれば早く車外に出て行って欲しいという願いを込めて窓を開けてみたりもしますが、そんなことはお構いなしといった感じでウロウロし続けるので、最後はティッシュでソッとつまんで(できるだけ殺さずに)、窓からティッシュをパタパタして振り落としています。

ある日、友人の家で夕食をごちそうになった後、夜の暗闇の中で庭に咲いているアジサイに見惚れていたら、その友人がたくさんのアジサイを手折って車に積んでくれました。

手作りのジャックランタン。この時期ならではの楽しみ。

手作りのジャックランタン。この時期ならではの楽しみ。

見事なアジサイをたくさん頂き嬉々として帰宅途中、何やら殺気が…。
そっと下を向いたところ、私の胸元にとまった大きなカマキリがカマを振り上げてこちらを睨んでいて、思わず気を失いそうになりました。アジサイの中で寛いでいたのを邪魔されたことに怒っていたのかもしれません。

また早朝に家の駐車場で換気のためしばらくサイドドアを開けたままにし、その後ドアを閉めて仕事先に向かおうと数分運転したところ、やはり背中に痛いほど視線を感じ、振り向いて見たら近所の猫が荷台にチョコンと座ってこちらを見ていました。

 冬の花が出始めました。来月は寄せ植え教室を開講します。


冬の花が出始めました。来月は寄せ植え教室を開講します。

びっくりして、思わず「えーっ!」と叫んでしまったことを数年経った今でも良く覚えています。急いでUターンし、駐車場に戻ってドアを開けたら、猫はやれやれといった表情で車から降り、こちらを振り返りながら家に戻って行きました。

思いもかけぬ珍客たちとのドライブ。
どんなに驚いてもハンドルから手を離さず、冷静に対処せねばなりません。これは、もはや究極の精神修行ではないかと思っています。できればこの先ずっと避けて通りたい修行です。

(2013.10.29 こまつ)