第115号 食で旅する

炊きたての新米が美味しくて、おかわりをしようか食事の度に悩むこの頃。待ちに待った食欲の秋が到来です。

これからは色付いた可愛い実物がおすすめです。

これからは色付いた可愛い実物がおすすめです。

食いしん坊の私は、旅した場所を思い出す時に必ず「そこで食べたもの」を一緒に思い出します。最近は輸入食材を扱う店が増えて、気軽に家庭で外国の味を楽しめるようになったので、「あの時の味を再現してみよう」とあれこれ思い出をたぐり寄せてみたり、また訪れた事のない国に思いを馳せたりしています。

学生時代に留学したイギリスでは、ホームステイした家で数々のイギリス家庭料理を味わいましたが、一番思い出すのは頻繁に食卓に登場した羊肉。焼いたり茹でたり、ミンチになったりと日々姿を変え、これにグレービーソースという、オーブンで煮詰めて手作りするソースがかかっている料理を良く食べました。羊肉の日は、家の50m手前から匂いが漂ってきて、あぁ今日も羊だなとわかるほど。決して嫌いではないけれど、食べすぎたせいで、最後の方は少し苦手になりかけました。

プリザーブドフラワーのアレンジ。定番の人気商品です。

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またかつて植民地だったことで、イギリスにはインド料理店も数多く存在していました。そこで食べたバターと生クリーム、砂糖がたっぷり入った、ものすごーく甘いクリーム色のカレー。今思い出しても「あれは何だったんだ!?また食べたい!」と思う虜になる不思議な味で、時間がたった今でも忘れられません。

フランス、パリの食堂ではポワロー葱(日本の葱よりずっと太い)や牛の脊髄が入ったポトフ。この脊髄とは、ぶつ切りにした肉付きの骨の中心に入っているドロッとしたエキスで、スプーンですくってパンにつけて食べます。ポトフはフランス家庭料理の代表ですが、日本でイメージされるものよりずっと濃厚な味で大好きです。

アジア料理も大好き。ビールにもぴったり。

アジア料理も大好き。ビールにもぴったり。

またフランスは移民が多いせいか、様々な国の料理店が立ち並んでいるのですが、もうひとつ印象的だったのはカンボジア料理。「ボブン」という麺の上に春巻きやお肉がのっていて、甘いナンプラーのようなタレがかかった料理を目当てに、店の中も外もフランス人でごった返すほどの盛況ぶりでした。

簡単に海外旅行には行けないけれど、レシピ検索をすれば、あらゆる国の料理の作り方がすぐにわかる時代。
広い味覚を持つという事は、この上なく贅沢で豊かなことだと思います。食欲の秋、美味しい料理で世界旅行を楽しみたいと思います。

(2013.9.26 こまつ)