第57号 高校生の私へ

高校生の時に書いた「自分史」の未来の欄には、「きっと私は外国で、ビジネスの第一線で活躍しているだろう」と書いてありました。かっこいいスーツに身を包み、ニューヨークの道を闊歩している自分を思い描いていたのだと思います。その頃の自分には、実際想像もつかなかった未来を、私は今歩んでいます。

店舗のウィンドウディスプレイも承っています。

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25歳の時、私は髪の毛を失いました。
毎日ハラリハラリと落ちる髪の毛にどうすることもできず、気がついたら1か月ほどで全ての髪の毛が抜け落ちてしまいました。

原因は未だによくわかりませんが、どうやらホルモンバランスを崩した事などが関係しているようです。それまで平穏に生きてきた自分に、それは初めて訪れた人生の大きな試練でした。

秋の花、菊をたっぷり使ったフラワーボールです。

秋の花、菊をたっぷり使ったフラワーボールです。

今まで当たり前だったことが、突然失われる恐ろしさ。突如現れた深く暗い闇に怯えながらも、一方で、私は自分の人生が大きく変わる転換期であることを、どこか冷静に受け止めていたような気がします。失ったものが大きすぎただけに、むしろサッパリしてしまったとも言えるのかもしれません。

人生は予定表通りにはいかないもの。遠回りをしたことで、今まで見たことのない景色に出会う事もできました。 そっと気遣ってくれる人の温かさ。
同じような病気と闘う人が沢山いること。
移りゆく自然が、涙を誘うほど美しいこと。

 押入れの整理をしていたら出てきた「自分史」。

押入れの整理をしていたら出てきた「自分史」。

常に前進だけではない、人生という道の歩み方。
そして、この病気がきっかけで転職し、私は花屋になりました。

もし未来に何が起こるかを、高校生の自分が知ってしまったら、大きなショックを受けるかもしれません。でももし今の私が、高校生の私に出会えたなら、自信を持って言ってあげたい。「あなたの人生、なかなか面白いよ。肩の力を抜いて、毎日を楽しんで!」

(2008/11/28 こまつ)